「運転資金がいくら必要かわからない」「急な支払いで資金繰りが苦しい」など、会社の資金に関して不安を抱える経営者の方は多いのではないでしょうか。

本記事を読めば、会社の血液ともいえる運転資金の基本的な意味から、自社に必要な金額の計算方法、日本政策金融公庫の融資や補助金といった最適な調達方法まで、その全てが分かります。

結論として、適切な運転資金を計画的に確保・管理することが、黒字倒産を避け、安定した会社経営を実現する上で最も重要です。資金繰りの悩みを解消し、事業成長を加速させるための知識を身につけましょう。

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運転資金とは 会社の血液となる重要なお金

会社の経営を人体に例えるなら、運転資金は全身に栄養を送り届ける「血液」のような存在です。血液が滞れば体が正常に機能しなくなるように、運転資金が不足すると会社の経営は立ち行かなくなります。ここでは、経営の根幹をなす運転資金の基本的な意味から、その必要性、そして混同されがちな「設備資金」との違いまで、経営者が最初に押さえるべき知識をわかりやすく解説します。

1.1 運転資金の基本的な意味をわかりやすく解説

運転資金とは、英語で「Working Capital」とも呼ばれ、会社が商品やサービスを提供し、日々の事業活動を円滑に進めていくために必要不可欠な資金のことを指します。具体的には、商品の仕入れ代金、原材料費、従業員への給与、オフィスの家賃、水道光熱費といった、事業を継続的に運営していくための支払いに充てられるお金です。

ビジネスの現場では、商品を販売したりサービスを提供したりしても、その代金がすぐに入金されるとは限りません。特に企業間取引(BtoB)では、代金を後払いで受け取る「掛取引」が一般的です。しかし、その間にも仕入れ代金や人件費などの支払いは発生します。この「売上が入金されるまでの期間」と「経費を支払う期間」のタイムラグを埋め、資金繰りを安定させるために運転資金が必要となるのです。

1.2 なぜ運転資金は必要になるのか 具体例で理解する

運転資金の必要性は、具体的な取引の流れを見るとより明確に理解できます。例えば、ある卸売業のケースで考えてみましょう。

  1. 【4月1日】メーカーから商品を300万円で仕入れる。支払いは「翌月末(5月31日)」の約束。
  2. 【4月15日】仕入れた商品を取引先の小売店に500万円で販売する。入金は「翌々月末(6月30日)」の約束。

この場合、帳簿上では200万円の利益が出ていますが、お金の流れ(キャッシュフロー)に注目すると、仕入れ代金の支払い(5月31日)が、売上金の入金(6月30日)よりも1ヶ月早く到来します。この1ヶ月間、会社は手元の資金から300万円を支払わなければなりません。さらに、この期間中も従業員の給与や事務所の家賃などの経費は発生し続けます。

このように、売上代金の回収より先に支払いが発生する「ズレ」を乗り越え、事業を継続させるために運転資金が絶対に必要なのです。もし運転資金が不足していれば、たとえ黒字であっても支払いが滞り、最悪の場合「黒字倒産」という事態に陥るリスクがあります。

1.3 運転資金と設備資金の決定的な違い

事業に必要な資金として、運転資金と並んでよく耳にするのが「設備資金」です。この2つは融資を受ける際の資金使途(お金の使い道)としても明確に区別されており、経営者はその違いを正しく理解しておく必要があります。

運転資金と設備資金の最も大きな違いは、その「目的」と「性質」にあります。運転資金が日々の事業活動を「回す」ための短期的な資金であるのに対し、設備資金は事業の基盤を築いたり、事業を拡大したりするための長期的な投資資金です。

両者の違いを以下の表にまとめました。

項目運転資金設備資金
資金の目的日々の事業運営(仕入れ、人件費、経費の支払いなど)事業の基盤となる資産の購入(土地、建物、機械、車両、ソフトウェアなど)
性質事業活動の中で常に増減し、循環する「流動的」な資金一度投資すると長期間固定される「固定的」な資金
資金の回収期間比較的短い(売上として回収される)非常に長い(減価償却を通じて何年もかけて回収される)
融資の返済期間(目安)短期(1年~5年程度)長期(5年~20年以上)

このように、運転資金は「会社の血液」として常に循環し続けるお金、設備資金は「会社の骨格や筋肉」を作るためのお金とイメージすると分かりやすいでしょう。金融機関から融資を申し込む際は、どちらの資金が必要なのかを明確にし、事業計画の中でその必要性を具体的に説明することが極めて重要です。

運転資金を確保しておくメリット

会社の「血液」とも言われる運転資金を十分に確保しておくことは、単に支払いに備えるだけでなく、企業の安定性と成長性を高める上で極めて重要です。手元に潤沢な資金があることで、経営の選択肢は大きく広がり、さまざまなリスクに対応できる強固な財務基盤を築くことができます。ここでは、運転資金を確保しておく具体的なメリットを4つの観点から詳しく解説します。

2.1 新たな事業投資に活用できる

ビジネスの世界では、予期せぬチャンスが突然訪れることがあります。例えば、魅力的なM&A(企業の合併・買収)案件、期間限定の有利な設備投資、あるいは優秀な人材を確保する機会などです。このような場面で手元に十分な運転資金がなければ、融資の審査を待っている間にチャンスを逃してしまうかもしれません。

潤沢な運転資金は、こうしたビジネスチャンスを迅速に掴むための原動力となります。金融機関からの借入に頼らずとも、自己資金でスピーディーな意思決定と行動が可能になるため、機会損失を防ぎ、競合他社に対して優位性を築くことができます。事業拡大や新規事業への挑戦など、攻めの経営を実現するためにも、運転資金の確保は不可欠です。

2.2 黒字倒産を回避できる

「黒字倒産」とは、損益計算書上では利益が出ているにもかかわらず、手元の現金が不足し、仕入代金や経費、借入金の返済などができなくなり倒産してしまう状況を指します。これは、商品の販売から売掛金の回収までにかかる時間と、仕入れから買掛金の支払いまでの時間のズレ(タイムラグ)によって発生します。

例えば、商品を販売して売上が計上されても、その代金が2ヶ月後に入金される場合、その間の従業員の給与や事務所の家賃などは手元の現金で支払わなければなりません。十分な運転資金があれば、この売上入金までのタイムラグを埋める「つなぎ資金」として機能し、資金ショートを防ぐことができます。利益が出ていても現金がなければ会社は存続できないという現実から、運転資金は企業の生命線であると言えます。

2.3 不測の事態に対応できる

企業経営は常に順風満帆とは限りません。自然災害、感染症のパンデミック、主要取引先の突然の倒産、急な法改正による対応コストの発生など、予測不可能な事態が起こり得ます。こうした危機的状況では、売上が急減したり、予期せぬ支出が発生したりします。

手元に十分な運転資金があれば、こうした不測の事態に対する「備え」となり、事業を継続するための体力を維持できます。売上が一時的に途絶えても、運転資金を取り崩して従業員の雇用を守り、事業所の維持費を支払うことが可能です。企業の存続を脅かす外部環境の急変に対するリスクヘッジとして、運転資金は極めて重要な役割を果たします。

不測の事態の例運転資金の役割
自然災害・パンデミック売上急減時の固定費(人件費、家賃など)の支払い、事業再開に向けた復旧費用
取引先の倒産売掛金が回収不能になった場合の資金繰りの穴埋め
設備の故障・システムトラブル緊急の修繕費用や代替設備の購入費用
訴訟・賠償問題弁護士費用や損害賠償金の支払い

2.4 会社の信用に繋がる

潤沢な運転資金を保有し、自己資本が充実している企業は、財務基盤が安定していると見なされ、外部からの信用力が高まります。この信用力は、さまざまなステークホルダーとの関係において有利に働きます。

特に金融機関からの評価は大きく変わります。自己資金が豊富であれば返済能力が高いと判断され、融資審査が通りやすくなるだけでなく、金利や保証料などの借入条件で優遇される可能性が高まります。いざという時にスムーズな資金調達ができる体制は、経営の安定に直結します。

また、取引先にとっても、支払い能力の高い企業は安心して取引できるパートナーです。与信審査で有利に働き、新規取引の開始や取引条件の改善(掛売りの限度額アップなど)に繋がることもあります。さらに、従業員やその家族にとっても、会社の財務的な安定は雇用の安心感に繋がり、優秀な人材の確保や定着にも貢献します。

評価する相手信用力がもたらすメリット
金融機関融資審査での高評価、有利な条件での資金調達
取引先取引開始のハードル低下、与信枠の拡大、良好な関係構築
従業員・求職者雇用の安定への安心感、人材の確保・定着
株主・投資家経営の安定性に対する信頼、企業価値の向上

運転資金の計算方法と自社に必要な金額の目安

会社の経営を安定させるには、自社にどれくらいの運転資金が必要なのかを正確に把握することが不可欠です。感覚的に資金繰りを行うのではなく、計算式に基づいて客観的な数値を算出することで、将来の資金需要を予測し、計画的な資金調達や経営改善に繋げることができます。ここでは、運転資金の基本的な計算方法と、業種ごとの目安について詳しく解説します。

3.1 経常運転資金の基本的な計算式

日常的な事業活動を継続するために、常に必要となる資金を「経常運転資金」または「所要運転資金」と呼びます。この経常運転資金は、以下の計算式で算出するのが一般的です。

経常運転資金 = 売上債権 + 棚卸資産 – 仕入債務

この計算式が意味するのは、商品やサービスを提供してからその代金が入金されるまでの「タイムラグ」を埋めるために必要な資金です。商品を仕入れてから販売し、その売上が現金として手元に入るまでには時間がかかります。一方で、仕入先への支払いは先に行わなければならないケースがほとんどです。この入金と出金のズレを補い、事業を円滑に回すために必要なのが経常運転資金なのです。

それでは、計算式を構成する3つの要素について、それぞれ詳しく見ていきましょう。

3.1.1 売上債権(売掛金・受取手形)

売上債権とは、商品やサービスを販売・提供したものの、まだ代金を受け取っていない「将来お金を受け取る権利」のことです。具体的には、掛取引で発生する「売掛金」や、代金を約束手形で受け取った場合の「受取手形」がこれにあたります。

会計上は売上として計上されていても、現金が手元にあるわけではありません。この未回収の代金が多いほど、手元の資金は少なくなります。そのため、売上債権の金額は、必要となる運転資金を計算する上でプラスの要素となります。

3.1.2 棚卸資産(在庫)

棚卸資産とは、販売するために保有している商品、製品、製造途中の仕掛品、原材料などの「在庫」のことです。これらの在庫は、仕入れのために既に現金を支払っているか、将来支払う義務(仕入債務)を負っています。

在庫は販売されて初めて現金に変わるため、在庫として保管されている期間は「お金が眠っている状態」と言えます。過剰な在庫を抱えると、その分だけ資金が固定化され、資金繰りを圧迫する原因となります。したがって、棚卸資産も必要運転資金を増やす要因として計算に含めます。

3.1.3 仕入債務(買掛金・支払手形)

仕入債務とは、商品や原材料を仕入れたものの、まだ代金を支払っていない「将来お金を支払う義務」のことです。具体的には、掛取引で発生する「買掛金」や、代金を約束手形で支払う場合の「支払手形」が該当します。

これは売上債権とは逆の立場で、支払いを猶予してもらっている状態です。支払いを先延ばしにできる期間が長いほど、その分だけ手元に資金が長く留まることになります。つまり、仕入債務は資金繰りにおいてプラスに働き、必要な運転資金を減らす効果があるため、計算式ではマイナスの要素として扱います。

3.2 業種別で見る運転資金の目安

必要な運転資金の額は、業種やビジネスモデルによって大きく異なります。これは、業種ごとに入金と出金のサイクル(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)が異なるためです。以下に、代表的な業種における運転資金の傾向をまとめました。

業種運転資金の傾向主な要因
小売業・卸売業多くなる傾向商品を仕入れてから販売するまでに在庫を抱えるため、棚卸資産が大きくなりやすい。取引先によっては売掛金の回収期間が長くなる場合もある。
製造業高額になる傾向原材料の仕入れ、製造、製品の完成、販売という長いプロセスを経るため、原材料や仕掛品などの棚卸資産が多額になりやすい。
建設業高額になる傾向工事の着工から完成・引き渡しまで期間が長く、人件費や材料費などの支払いが先行する一方、工事代金の入金が分割または完成後になるため。
IT・サービス業比較的少ない傾向物理的な在庫を持たないビジネスモデルが多いため。ただし、外注費の支払いが先行する場合や、クライアントからの入金サイクルが長い場合は運転資金が必要になる。
飲食業比較的少ない傾向顧客からの代金回収が現金やクレジットカード決済で即時〜短期間であるため、売上債権がほとんど発生しない。ただし、食材の仕入れ(棚卸資産)は常に必要。

自社の運転資金が多いのか少ないのかを判断する際には、同業他社の平均値と比較するのも有効です。中小企業庁が公表している「中小企業実態基本調査」などの統計データを参考に、自社の財務状況を客観的に評価してみましょう。

3.3 赤字でも運転資金は必要になるケース

「赤字だから運転資金は不要」あるいは「赤字だから資金が足りなくなる」と考えるのは早計です。損益計算書上の利益(または損失)と、実際の現金の増減(キャッシュフロー)は必ずしも一致しません。赤字決算であっても、運転資金が別途必要になるケースは多々あります。

例えば、売上が急拡大している成長期の企業では、たとえ赤字でも運転資金は増加します。売上が増えれば、それに比例して仕入も増えます。売掛金の回収よりも仕入代金の支払いタイミングが先に来る場合、事業が拡大すればするほど、より多くの運転資金が必要になるのです。これは「黒字倒産」に繋がるリスクもはらんでいます。

また、会計上の費用ではあっても現金の支出を伴わない「減価償却費」の存在も重要です。減価償却費が大きいことで損益計算書上は赤字になっていても、キャッシュフローはプラスになっていることがあります。このような場合でも、仕入れや経費の支払いなど、日々の事業活動を維持するための運転資金は当然必要です。

さらに、金融機関からの借入金の元本返済は、損益計算書には費用として計上されませんが、現金の支出を伴います。赤字で利益から返済原資を確保できない状況でも返済義務は続くため、そのための資金を手元に用意しておかなければなりません。このように、会社の状況を正しく把握するためには、損益だけでなくキャッシュフローの視点を持つことが極めて重要です。

【ケース別】運転資金の調達方法を徹底比較

事業を継続していく上で不可欠な運転資金ですが、その調達方法は多岐にわたります。自社の状況や資金が必要なタイミング、金額に応じて最適な方法を選択することが、健全な経営の鍵を握ります。ここでは、代表的な運転資金の調達方法を、それぞれのメリット・デメリットと共に徹底的に比較・解説します。

4.1 日本政策金融公庫からの融資

日本政策金融公庫は、政府が100%出資する金融機関です。中小企業や小規模事業者、個人事業主、そしてこれから事業を始める創業者の支援を目的としており、民間金融機関では融資が難しいケースでも積極的にサポートしてくれます。特に、創業期の事業者や事業実績がまだ少ない企業にとっては、最初に検討すべき選択肢と言えるでしょう。

メリットとしては、民間金融機関に比べて金利が低く設定されている点、返済期間を長く設定できる点、無担保・無保証人で利用できる制度が充実している点が挙げられます。一方で、申し込みから融資実行までに1ヶ月以上かかる場合があることや、提出書類が多く手続きが煩雑に感じられる可能性がある点はデメリットと言えます。代表的な融資制度には、新規開業資金やマル経融資(小規模事業者経営改善資金)などがあります。

より詳細な情報や最新の融資制度については、日本政策金融公庫の公式サイトをご確認ください。

4.2 民間金融機関(銀行・信用金庫)からの借入

メガバンク、地方銀行、信用金庫といった民間金融機関からの借入は、最も一般的な資金調達方法の一つです。日頃から取引のある金融機関であれば、事業内容や経営状況を理解してくれているため、相談しやすいというメリットがあります。融資の可否や条件は、事業の収益性や将来性、財務状況などに基づく審査によって決定されます。民間金融機関からの借入は、大きく分けて「プロパー融資」と「信用保証協会付融資」の2種類があります。

4.2.1 プロパー融資と信用保証協会付融資

この2つの融資形態は、リスクを誰が負うかという点で根本的に異なります。それぞれの特徴を理解し、自社の状況に合わせて検討することが重要です。

プロパー融資は、金融機関が100%自らの責任で直接融資を行う方法です。間に保証協会を挟まないため、信用保証料がかからず、金利も低めに設定される傾向にあります。また、融資額の上限も高く、柔軟な資金調達が可能です。しかし、金融機関が直接リスクを負うため、審査は非常に厳しく、豊富な事業実績や良好な財務内容が求められます。

一方、信用保証協会付融資は、万が一企業が返済不能に陥った場合に、信用保証協会が金融機関に対して返済を立て替える(代位弁済する)制度です。この保証があることで、金融機関は貸し倒れリスクを軽減できるため、創業間もない企業や実績の少ない企業でも融資を受けやすくなります。ただし、利用にあたっては所定の信用保証料を支払う必要があり、保証を受けられる金額には上限が設けられています。

プロパー融資信用保証協会付融資
審査の厳しさ厳しい比較的緩やか
金利低い傾向やや高い傾向
信用保証料不要必要
融資実行までの期間比較的早い時間がかかる傾向
主な対象事業実績が豊富な企業創業期の企業、中小企業

4.3 短期的な資金ニーズに応えるビジネスローン

ビジネスローンは、主に消費者金融会社や信販会社などのノンバンクが提供する事業者向けのローンです。銀行融資に比べて、審査スピードが速く、最短即日で融資を受けられる場合もあるため、急な資金需要や「つなぎ資金」として非常に有効です。また、無担保・無保証人で利用できる商品が多く、オンラインで手続きが完結する手軽さも魅力です。

ただし、その利便性の高さと引き換えに、金利は銀行融資や公庫の融資に比べて高く設定されています。そのため、長期的な運転資金の調達には向かず、あくまで短期的な利用に留めるのが賢明です。安易な利用は将来の資金繰りを圧迫する可能性があるため、返済計画をしっかりと立てた上で計画的に活用しましょう。

4.4 売掛金を現金化するファクタリング

ファクタリングは、企業が保有する売掛金(売掛債権)をファクタリング会社に売却することで、支払期日よりも前に現金化する資金調達手法です。融資や借入とは異なり「債権の売買契約」であるため、貸借対照表上で負債が増えないという特徴があります。

最大のメリットは、最短即日での資金化が可能であること、そして自社の信用力よりも売掛先の信用力が重視される点です。そのため、赤字決算や税金滞納といった理由で銀行融資を断られた場合でも利用できる可能性があります。一方で、手数料が比較的高く、売掛金の額面以上の資金調達はできないというデメリットも存在します。急な資金ショートを回避したい場合や、銀行融資の審査を待てない場合に有効な選択肢です。

4.5 返済不要の補助金・助成金の活用

国や地方自治体が提供する補助金・助成金は、原則として返済不要である点が最大の魅力です。事業の成長や雇用の安定などを目的とした様々な制度があり、運転資金の一部として活用できるものもあります。

補助金は、主に新規事業や設備投資など、特定の事業計画に対して経費の一部を補助するものです。公募期間内に申請し、審査を経て採択される必要があります。一方、助成金は、主に雇用の安定や労働環境の改善に関するもので、定められた要件を満たせば原則として受給できます。

ただし、どちらも原則として「後払い」であり、すぐに現金が手に入るわけではない点に注意が必要です。事業を実施し、経費を支払った後に報告書を提出し、その内容が認められてから振り込まれる流れが一般的です。また、申請手続きが煩雑で、専門的な知識が必要になるケースも少なくありません。情報収集には、中小企業基盤整備機構が運営する「J-Net21」などのポータルサイトが役立ちます。

運転資金が増減する要因と資金繰り改善のポイント

会社の運営を続けていく上で、運転資金は常に変動します。「売上は好調なはずなのに、なぜか手元の現金が足りない」といった事態は、この運転資金の増減が原因であることが少なくありません。ここでは、運転資金が増減する具体的な要因と、健全な資金繰りを実現するための改善策を詳しく解説します。

5.1 運転資金が増加する主な原因

運転資金が増加する(=必要な資金額が増える)ことは、必ずしも悪いことではありません。事業の成長段階で発生する「ポジティブな増加」もあります。しかし、意図しない増加は資金繰りを圧迫し、経営リスクを高めるため、その原因を正しく理解しておくことが重要です。

主な原因は以下の4つです。

  • 売上の急増
    売上が伸びると、それに伴い売掛金や仕入れるべき在庫が増加します。これらは現金化されるまでに時間がかかるため、売上が入金されるまでの間、より多くの運転資金が必要になります。これは事業成長に伴う健全な増加ですが、資金ショートに陥らないよう注意が必要です。
  • 売上債権(売掛金など)の回収サイト長期化
    取引先の支払条件が変更されたり、回収が遅れたりすると、売上が現金として手元に入るまでの期間が長くなります。その結果、帳簿上は黒字でも、手元の現金が不足する「黒字倒産」のリスクが高まります。
  • 棚卸資産(在庫)の増加
    需要予測の誤りによる過剰在庫や、販売不振による不良在庫を抱えると、仕入れに使ったお金が現金化されないまま滞留します。在庫は保管費用も発生するため、運転資金を大きく圧迫する要因となります。
  • 仕入債務(買掛金など)の支払サイト短縮
    仕入先からの要請などで、買掛金の支払サイクルが早まると、売上金の入金よりも先に現金が流出することになります。これにより、手元資金が減少し、資金繰りが厳しくなります。

5.2 運転資金を減らしキャッシュフローを改善する方法

運転資金を適切に管理し、圧縮することは、キャッシュフローの改善に直結します。手元資金に余裕が生まれれば、急な支払いや新たな投資にも対応でき、より安定した経営基盤を築くことができます。以下に、運転資金を減らすための具体的な改善策を項目別にまとめました。

自社の状況と照らし合わせ、着手できるところから改善を進めていきましょう。

改善対象具体的な改善策
売上債権(売掛金・受取手形)請求書発行の早期化と徹底:月末締め翌月末払いの場合でも、請求書は月初の早い段階で発行し、送付漏れがないか確認する。 回収サイトの短縮交渉:新規取引先だけでなく、既存の取引先とも支払条件の見直しを交渉する。 与信管理の強化:取引先の信用情報を定期的に確認し、回収遅延リスクの高い取引を避ける。 入金遅延への迅速な対応:支払期日を過ぎた売掛金に対しては、すぐに督促を行う体制を整える。
棚卸資産(在庫)需要予測の精度向上:過去の販売データや季節変動を分析し、過不足のない仕入れを心掛ける。 在庫管理の徹底:在庫管理システムなどを活用し、リアルタイムで在庫状況を可視化する。「適正在庫」の基準を設けることも有効。 滞留在庫・不要在庫の処分:長期間売れ残っている在庫は、セール販売や専門業者への売却などで早期に現金化する。 リードタイムの短縮:発注から納品までの期間を短縮することで、保有すべき在庫量を減らす。
仕入債務(買掛金・支払手形)支払サイトの延長交渉:仕入先との信頼関係を基に、支払サイクルを可能な範囲で長くしてもらえるよう交渉する。 クレジットカードの活用:仕入れ代金をクレジットカードで支払うことで、実際の引き落とし日までの期間を延ばす(実質的な支払サイトの延長)。
その他経費の見直しと削減:固定費(家賃、人件費、通信費など)や変動費(広告宣伝費、消耗品費など)を定期的に見直し、不要な支出を削減する。 遊休資産の売却:事業に使用していない土地、建物、機械などを売却し、現金化する。

これらの改善策は、一つひとつは小さな取り組みに見えるかもしれません。しかし、継続的に実行することで、運転資金は着実に圧縮され、会社の資金繰りは大きく改善されます。重要なのは、現状を正確に把握し、自社に合った改善策を計画的に実行していくことです。

まとめ

運転資金は、仕入れから販売代金の回収までにかかる、事業を円滑に継続するための血液です。これが不足すると、たとえ黒字でも支払いが滞り、黒字倒産に陥る危険性があります。自社に必要な金額は経常運転資金の計算式で把握し、常に余裕を持たせることが安定経営の鍵となります。

資金調達には日本政策金融公庫の融資や銀行融資、ファクタリングなど多様な方法があるため、状況に応じて最適な手段を選択しましょう。計画的な資金繰りで、盤石な経営基盤を築くことが重要です。

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